統計とAIの分岐点

案件で統計とAIがごっちゃになることが多く、統計処理で解決する案件が多いですが、
統計とAIの違いについて、書きます。

統計の構造(説明の技術)を深掘りする

流れ(ざっくり図)

[ データ ]
   ↓
[ 仮説 ]
   ↓
[ 数式・モデル ]
   ↓
[ 検証 ]
   ↓
「平均は◯◯です」
「相関があります」
    

① なぜ「仮説」が必要なのか

統計は、人間が世界を理解するための技術です。そのため最初に必ず、「どういう関係があるはずか」という仮説を置きます。

  • 売上は気温と相関があるのでは?
  • 来店数は曜日で変わるのでは?
  • 価格と需要は反比例するのでは?

この仮説がないと、統計は無限の数字の海で溺れます

統計において「仮説」は、計算の前提条件であり、人間の世界観そのものです。

② なぜモデルは人間が選ぶのか

仮説を立てた瞬間、使えるモデルはほぼ決まります。

  • 平均を見るのか
  • 回帰を見るのか
  • 分散を見るのか
  • 相関係数を見るのか

つまりモデル選択とは、「この世界をどう切り取るか」を人間が決める行為です。

モデルは中立ではありません。人間の視点を数式に翻訳したものにすぎません。

③ 検証とは「人間の仮説の正当化」

統計の検証は、「データが正しいか」ではなく、仮説がどこまで許されるかを確認する作業です。

  • 有意差がある
  • 相関がある
  • 偶然とは言えない

ただし重要なのは、統計は「だから何をするか」を決めないという点です。

④ なぜ結果は「説明」で終わるのか

統計の出力は、ほぼ必ず文章になります。

  • 「平均は◯◯でした」
  • 「有意な相関が見られました」
  • 「傾向が示唆されます」

これは欠陥ではありません。人間が次の判断をするための材料だからです。

統計の主役は「考える人間」であり、統計はその補助輪にすぎません。


AIの構造(判断の技術)を深掘りする

流れ(ざっくり図)

[ データ ]
   ↓
[ 特徴量 ]
   ↓
[ 学習(ブラックボックス可) ]
   ↓
[ 推論 ]
   ↓
「次の行動を確定する」
    

① なぜ仮説を立てないのか

AIは世界を理解しなくてもいい。必要なのは「当たること」だけです。

  • なぜそうなるかは不要
  • 理由が説明できなくても問題ない
  • 結果が改善されればそれでよい

ここが統計との最大の断絶点です。

AIは「意味」を扱わず、「対応」を学習します。

② 特徴量とは「人間が許した世界の窓」

AIは仮説を立てない代わりに、何を見るかだけは人間が決めます

  • 時間を見る
  • 天気を見る
  • 画像のピクセルを見る
  • 過去の行動履歴を見る

特徴量とは、AIに見せる世界の制限装置です。

そして、倫理・責任・偏りはここでほぼ決まります

③ なぜブラックボックスで動けるのか

AIの内部は、人間にとって理解不能でも構いません。なぜなら、

  • 人間が逐一理解する前に現実は変化してしまう

AIは「理解」より反応を優先します。

説明可能性より、反応速度と改善率が価値になります。

④ 推論とは「即時の行動選択」

AIの最終出力は文章ではありません。

  • フラグを立てる
  • 数値を変える
  • ルートを切り替える
  • アラートを出す

つまり行動に直結する命令です。

ここで初めて、システムが主役になります

⑤ なぜ「80%でいいAI」が成立するのか

AIは、失敗を前提に改善します

  • 100%正しい必要はない
  • 人間が介入できる余地を残す
  • ログから次を学ぶ

統計では許されない「雑さ」が、AIでは進化の燃料になります。

主役が変わる瞬間

統計

人間 → 考える → 行動する

AI

システム → 行動する → 人間が監督する

ここを混同すると事故が起きます。

  • 統計をAI扱い → 判断しないのに「任せた気になる」
  • AIを統計扱い → 説明責任を押し付けて「止まる」

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